一人百物語第七夜 「消える電球」

みなさんこんばんは。DJ座長でございます。

ちょっと時間がかかってしまいましてすみません。新学期が始まりまして色々とございましたわけでして、なかなか更新できませんでした。

春コンでは飲みすぎて記憶をほとんどなくし、吉野川デコトラライブではハプニング続出、そして後輩たちとの高知弾丸日帰りツアー、その帰りに夜の阿波池田でまさかの一時間待ちがあったり、あとオーディションもありましたね。肝を冷やしました。病院見学では京都は東山の某病院に行ってまいりまして、何故かそのあと鍼灸医院の見学をしたりとか、様々な出来事がありました。

またそれらに関してはラジオの方でお話ししようかと思います。現在は実習が始まりまして、毎日病院の方で何となく過ごしている状況です。

いや〜病棟での肩身のせまさったらないですねー。

さておき、今日は久々に一人百物語第七夜の更新でございます。

では、どうぞ。



「消える電球」


会社員のMさん(20代女性)は、ちょうど新しいマンションに引っ越したところ。家賃も手ごろで立地もよい、しかも部屋はなかなかキレイときており、はじめのうち引越しの成功に大満足でした。

しかし、そこで住み始めて3日目くらいから変なことにも気づき始めていたんですね。

まずお風呂の電球。

これがいわゆる立て付けが悪いというのか取り付けが悪いというのか、風呂に入ろうと電気のスイッチを入れて中に入ると何故か真っ暗・・・

点いてるはずの電気が点いてない。

おかしいなぁと思って電球を触ってみると、なんだかガタガタにゆるんでいる。

で、締めなおすとパっと電気が点くわけです。

はじめのうちはそんなに気にもしなかったんですが、それがあんまり続くものだからさすがにそのうち管理人に相談しないといけないと思うようになりました。

あともう一つ嫌なことがありました。

それは、オートロックにも関わらず変な宗教の勧誘が来るということ。

いっつも夕方頃から建物の中をうろついていて、しかも身なりが異様。

ひょろっと背が高くてヨレヨレのトレンチコートを羽織り、アタマにはこれまたヨレヨレのナッパ帽をのせ、その中からおよそ手入れなどしていないであろうモジャモジャの黒髪がギトギトとした光を放ちながらはみ出していた。

遠くから見ていると各部屋の前で立ち止まっては何をするわけでもなく中の様子をうかがうようにしていて非常に不気味だった。

たまにチャイムを鳴らすので、うっかり出てしまうと、「あなたは救いを必要としています」などと言って宗教の勧誘を始めてしまう。

もちろんMさんは宗教に興味がないので「そんなの必要としていません!と啖呵をきって扉閉めちゃう。

そんなことが何回かあった。

他の部屋の人も辟易しているらしく、何日目かくらいに建物のあちこちに「宗教勧誘お断り!」という張り紙が見られるようになった。

その張り紙は意外な効果を生んだ。

男は現れなくなったんです。

変な男が現れなくなってよかったとMさんは平穏な毎日を送ったのです。

それから一月ほど経ったある日のこと、残業やなんかで真夜中にマンションに帰ると、何だか様子がおかしい・・・

玄関や廊下中に紙切れが散らかっている。

「何これ?」

と拾って見るとそれ・・・例の張り紙の切れ端だったんです!どうやら建物中の張り紙がびりびりに破られてそこら中に捨てられているらしいのです。

「何よ・・・これ・・・」

Mさんは急に怖くなって立ちすくんでしまいました。

誰も気づいていないということは・・・皆が寝静まってからのことなのでしょう・・・

ということは、犯人はまだこの建物の中にいる・・・?

そう思ったとき、

コツン、コツン、コツン・・・

後の廊下の曲がり角の方から何者かの足音が聞こえました。

ヤバイ!来てる!

そう思ったMさんは急いで階段を上って自分の部屋に帰りました。

部屋に戻って一息つくと、とりあえず落ち着いてきました。

今日のことはもう遅いし、明日管理人に連絡しようと思い、お風呂に入ることにしました。

パチっと電気のスイッチを入れて中に入ると・・・

「あれ?」

電気が点いていない。

実は、男が来なくなった頃くらいから風呂の電気は普通に点くようになってたんですね。

それが今また点かなくなってる・・・

さっきのこともあるし気持ち悪いなぁと思いながら電球を締めて電気を点け、シャワーを浴び始めました。

シャンプーを終えて頭を流していると、

フッと急に電気が消えて真っ暗になりました。

「え?」

驚きましたが、気を取り直して手探りで電球を締めようとすると、、何か冷たいものに触れる・・・

「きゃっ」

あまりに驚いて慌てて手を引っ込めたのですが、真っ暗なままではラチがあかないので勇気を振り絞って電球に手を伸ばして、エイやと締めると、ぱっと電気が点いた!

その瞬間、壁の換気口に何かがズルっと音を立てて引っ込むのが見えた。

「いやーっ!」

Mさんは真っ青な顔で叫んだ!

引っ込み際に見えたソレは、どう見ても人間の手だったのです・・・

どうやら自分がさっき触れたのは、その「手」だったようなのです。

換気口の向こうは廊下とつながっています。

Mさん、ガタガタ震えながら背伸びをして壁の換気口を覗きこむと・・・

向こうからこちらを覗き込む目と目が合ったらしいです・・・

Mさん、そのまま気を失ってしまったそうです。

その人物が何者かは分かりませんが、状況的にやはり宗教の男であった可能性が高いわけです。

どうやら何が目的かはわかりませんが、その男が換気口から手を入れて風呂の電球を緩めていたのでしょう。

しかし目的以上に分からないのは、1Mはある換気口を抜けてさらにそこから1Mはある電球に触るには、2M以上の腕がないと不可能なのです・・・

「私分かったんです。あの人が何で色んな人の部屋の前で立ち止まってたか・・・」

事実、他の部屋でも同様に電球が緩んでいたという。

Mさんはすぐにその部屋は引き払ったそうです。

やはり安い物件にはそれなりの理由があるようですね。

みなさんもお風呂の換気口を覗いて見て下さい。何か見えるかも知れません。

え?うちは天井についてるから関係ないですって?

まぁ・・・そうは言わずに見てみて下さい・・・

相手は私たちの予想をはるかに超えた動きをしてきますからね・・・

いかがでしたでしょうか?

それではみなさんごきげんよう

See you next nightmare!

DJ座長でした。