一人百物語 第19夜 入水 2

女性は、年の頃で27,8,9程度。

波打ち際に座っている。本当の意味での波打ち際である。そう、海の中に入ってしまっているのだ。

服を着たままで、波が打ち寄せる度に倒されながらも、缶ビールを何本も飲んでいるのだ。

浜辺のそこら中に空き缶が転がっており、何本かはすでに女性とともに波打ち際を漂っていた。

「なぁ、あれ、ヤバくないか?」

全員顔を見合わせた。

明らかに失恋か何かして自暴自棄になっているという様子なのだ。

・・・まさか・・・

全員の頭に同じ考えが浮かんだ。

「放っといたら・・・まずいよなぁ?」
そう言ってみんなでその女性の元に近づいた。

つづく