恐怖!牛鬼が眠る、呪いの山寺!! その二 「漆黒の旅団」

「私としたことが!いそがねば!」

5分だけお邪魔するはずだった軽音の先輩方の飲み会でついついノリノリで語り過ぎてしまったためにさらに5分ほど遅れてしまいました。

夜も夜中に原付を飛ばして(もちろん酒は飲んでませんよ!)いると、なんだか一年生のころ一般教養の授業を受けるために毎朝大急ぎで同じ道を走ったものだなあと思い出しました。

おかげで、道行くばあさんを見落とすところでした。いや・・・あるいはそのばあさんもすでに・・・

さておき、待ち合わせ場所である大学の軽音部の部室付近にたどり着くと、すでに前述のIくんが待機していた。今日は霊が見える彼が同行する、何が起こるかわからないな・・・と密かに唾を飲みました。

彼と合流すると、すぐ先にO智さんとグンソウ(グンさん)が車にて待機されておりましたので、合流。

簡単なミッションブリーフィングの後、香川に向けて出発いたしました。

O智さんは某軽音のゴーストスラッパーでして、スラップによる除霊を得意としています。我々の心霊顧問であります。グンさんは某軽音きっての心霊博士でして、私も怪談師としてしばしばアドバイスをいただいております。

今回も道の詳細が不確実だったため、高松付近から私の携帯のアプリでナビをしながら行くことになりました。

しかし、これはすでに過ちだったのかも・・・

このアプリ、GPS機能を利用したものだったのですが、現場に近づくにつれてワンテンポ遅れて指示を出すようになり、くるくるくるくると無駄に回り道をさせるのです。

そう・・・まるで我々を現場から遠ざけるかのように・・・

そしてイオン高松を過ぎ、五色台の山道をラブホ街を抜けながら上って行く。だんだんと明かりもなくなり、左の眼下に広がる高松の夜景とはるか頭上に広がる星空の、いずれも宝石箱をひっくり返したように美しい光以外には一切の光がない、そんな真の闇に包まれたのです。

不思議な話でございます。頭上と眼下はあんなに光があふれているのに、それらに挟まれたこの山道には一切の光がないのでございます。

などと感慨にふけっておりますと・・・

なんだかグンさんの様子がおかしい。何かを恐れている様子なのです。

めずらしい・・・ 普段どこの心霊スポットに調査に行ってもおびえた様子を見せない彼が何かにおびえているようなのです。

そしてポツリとつぶやいたのです。

「高いなぁ・・・」

・・・え?

「いやぁ、苦手なんですよね・・・高いところ・・・」

たしかに山道をかなり登って、遥か地上に市街地の夜景を望むこの状況では、たしかに高い場所にいることになるわけです・・・

高所恐怖症だったのですね・・・

さておき、車はまっすぐ山道をどんどん奥深くに入っていく。

そして、突然道が開けて駐車場らしきものが見えたので、どうやらここに車を置いて出て行くことになりそうだってなわけで車を止めまして、ライトを消した瞬間・・・

ビビルくらいの闇・・・

何も見えないわけです。これはある意味怖いですよ。

「これ、ホンマに出ていくんですかねぇ?」

誰からともなく口にする。でも、真夜中にわざわざここまで来たわけですし、行くしかないか〜と話がまとまったところで、

ドドドドドドドゴゴゴゴゴ・・・・・

謎の轟音が響いてきたのです。

全員が顔を見合わせました。気のせいに違いない。だってこんな真夜中の山奥です。

人がいるはずはないんです。

しかもこのとき、前述の通りIくんのカメラが不可解な割れ方をしてしまったのです。

もうすっかり不気味なムードがメンバー間に流れました・・・

恐る恐る車を降り、そしておそらくこちらだろうという方向にぞろぞろと歩き始めました。

完全な闇の中を百均のライトのか細い光で歩いていく・・・なんとも頼りないことです・・・

すると、またさっきの音が!

ドドドドドドゴゴゴゴゴゴ・・・・

まただ!!

一体何だ??

メンバー全員に戦慄が走る!!

すると闇のはるか向こうの木々の間から、いくつもの光が近づいて来るのが見えるではないか!!

その間も音は鳴り続けている!!そして次第に音が大きくなってくる!

これはやばい!全員が同時に言い知れぬ危機感をおぼえ、車に戻って鍵をかけて身をかがめて外から見えないようにした。

ドドドドドドゴゴゴゴゴゴ・・・・もう音はすぐそばまで来ている!

全員がううっと息をのんだ!

そしてそっと窓から外の様子を覗った4人の目に映ったのは・・・

口に布をあてて白い装束に身を包んだ男たちが、バイクにまたがって山道を走っていたのです。


金髪にノーヘルの青少年たちが真夜中に特攻服でもって二人乗りのバイクを走らせている・・・

ありていに言えば・・・暴走族だったのです・・・


まあ、見つかったらある意味ホンマに怖いことになっていたでしょうね・・・

「たぶんこのあたりのヤンキーが心霊スポットをたまり場にしているんでしょうね」

ただ、彼らが生きている人間でない可能性はまだ残っているのですがね・・・


むしろそう信じたいです。


さて、彼らが戻って来ないことを確認したのち、再び車を降り、闇の中を進みました。    つづく


[写真のコーナー]

今回の調査の様子ではないのですが、山奥の闇の中を進んでいくときはこんな感じなんです。
やっぱり真っ暗闇は気持ち悪いものですねー


これは先日両国橋で行われたライブイベント「グルーブサーキット」にて観客のじいさんと我らがHぼんの2ショットです。あまりにいい写真なのでついupしてしまいました。