そこのあんた!チンドン屋見たことあるかい?
私の答えは「ノー」です。
でも、見たことはないんだけどやったことはある!と今は胸をはって言えるわけです。
授業中、突然師匠から電話がかかってきました。あ、音楽の方の師匠ですよ?怪談の師匠から連絡が来たことは未だありません。たぶん向こうは僕のこと知らないでしょうしね・・・
師「もしもし?チンドン屋やってみない?」
座「え!?ち、チンドン屋ですか?いや〜見たこともやったこともないですしね〜。それにベース持って歩きながら弾くのは厳しいですね・・・」
師「あ、そうそう。ギャラ出るからね」
座「やります」
ということで頭を下げて蔵本キャンパスで精鋭を集めてみました。
ピアニカ:MOMO、ジャンベ・木魚・りん:もんじろう、ギター:座長。
そして、極めつけが・・・蔵本秘密兵器! ビオラ:アコメ!!
もう何とも言えないチンドン屋が完成したわけです。
さて、何度か練習をしてとりあえず曲を用意しました。
笑点のテーマ 情熱大陸 ルパン ブルースセッション(てきとう)
さて曲の準備ができたところで、さあ後は明後日の本番・・・と思っていると・・・
師「あ、そうそう。パレードやけどね。イベンターの人がなるべく面白い格好で来て欲しいらしいからよろしくー」
あ!しまった!衣装のことを忘れていた!時間がないので急いでメンバーにその旨を伝えると、
「え?面白い格好とか持ってないよー」
「困ったなー」
と当然の反応。しかし、秘密兵器アコメさんは違った。
ア「あ?面白い格好?ほな俺スーツとブリーフで行くわ〜」
とあっさり決定。男前すぎるというか、慣れすぎているというか・・・
ともかく頼もしいことこの上なかったわけです。
そうして集合したのは29日日曜日朝9:50籠屋町。
現場に着いた瞬間、豪華なブラスバンドの演奏が聞こえてきました。富田中学の吹奏楽部も呼ばれて演奏しているのでした。
まだ何のイベントかもよく分からないながらも集まった我々ですが、控え室として提供された商店の一室で、それぞれの衣装に着替えながら、あまりのブラスバンド演奏の豪華さに言い知れぬ不安感を覚えました。
座「さ、準備完了!」
こんな感じです。一番左の彼が蔵本の有名人アコメさんです。この日はいつものステージよりも服を着ている面積が多いですね。
もちろんご覧の通り彼はズボンを着用しておりません。彼はこの前日腹痛で倒れ、当日もコンディション最悪の状態でした。しかし寒空の中のこの衣装でもこの笑顔。エンターテイナーとして見習うべき点がたくさんあります。
この日何のイベントかもほとんど知らないまま来た我々なのですが、ボードウォークの出店などを管理するイベンターの人が依頼主でして、その人に聞いた限りでは、日曜市にぶつけて籠屋町でその名も籠屋ラーメンを販売するのでその宣伝というかにぎやかしというか、その意味合いでもって我々が呼ばれたらしかったのです。
さて自分たちが呼ばれた理由が分かったところでとうとう出発です。
西側には豪華な演奏をするブラスバンドがいるためとりあえずそっちを避けて紺屋町の方に向けてチンドン屋を始めました。
我々が笑点のテーマなどを弾きながら歩いていく横で、イベントスタッフの人がラーメンのチラシを配って歩くという形で始まりました。
もうね、道行く人の視線が刺さる刺さる。
そんな中でも秘密兵器アコメさんは道行くおば様方から大人気!
「寒くないの〜?」「目のやり場に困るわ〜」などなど
絡まれる絡まれる。写真も撮られまくる。
小さな娘さんを連れた親御さんは見ちゃダメと言わんばかりに娘の目を覆う。
道行く人々の視線に耐えながら街を練り歩く。
日曜市の方も回ってくれと言われて、「マジかよ」と思いながらもとりあえず紺屋町に出て白日の下にさらされるチンドン一行。
さらなる人々の視線が我々をさす。日曜市のためか警備員の数も多い。
特にズボンをはいてないメンバーは大丈夫なのか・・・?
しかし我々の心配をよそに、警備員は苦々しい顔をしながらも特に咎められることもなく、無事に紺屋町もチンドンできました。
さて紺屋町をクリアした後、再びアーケードに乗り込んだ我々ですが、じきにさらに恐ろしい事実に気づきました。
ブラスバンドたちのちょうど反対側で小粋なジャズバンドが演奏を始めました。
これがどういうことか?
我々チンドン一行がアーケードの中で挟み撃ちに合っている状態なわけです。
これは困った・・・
右にも左にも行けぬ・・・
ていうか我々は何をやっているのだろう・・・?
困り果てた我々はとりあえず籠屋ラーメンを食べて休憩することにしました。
300円でラーメンが食べれるとは!しかもなかなかの美味ときている。
そのとき、ふっと誰かの視線に気づく。
見ると演奏を終えて帰ろうとしている富田中学の生徒たちがこちらを見ながら何かひそひそ言っているではないか!?
中「あんなん無いわぁ〜」
何たることか!中学生にまでなめられているではないか!?
しかし気になるのは彼女らが一体我々のうち誰のことさして言っているのか・・・
そこからしばし、お互いの罪のなすり合いが始まりました。
しかし、答えは突然明かされました。
急に一人の女子生徒が駆け寄って来てこう言う。
娘「お疲れ様です!寒くないんですかぁ?」
ア「あ?オレ?寒いで」
彼女らの言っていたのはどうやらアコメさんだったらしいですね。
内心胸を撫で下ろしました。
ア「大人はな、お金をもろうたらこんなことでもなんでもやらなあかんねん」
そう言いながら険しい顔でタバコを吸い込むアコメさんは何だか大きく見えました。でもいかんせんズボンをはいてないものだから、どうにも決まらなかった。
娘「そうなんですね〜。頑張ってくださいね」
ア「おう、ありがとう!」
その後、とうとうアーケードを追い出された我々は、誰もいない富田街の路地裏でクラクションを鳴らされながら練り歩きました。たまにすれ違う人にとっては明らかに異様な光景であったでしょう。両国公園にも立ち寄ってみましたが、誰もいませんでした。
途中、横断歩道で信号待ちをする間が一番心が折れそうになりました。
その後、駅前でもビラを撒きたいからそっちにも行ってくれないか?という話が出たときは本気で戦慄しました。
ま、楽しかったですね。
また機会があればぜひやりたいです。
一緒に出てくれた三人、ありがとう!
まだギャラを受け取ってないのですが、ギャラで何を買うかって?
僕は土佐の人間です。
酒を買いますよ。
ていうかもう先に買いました。
だって、安かったからね。
瓶ビール。
それでは、See you next nightmare!