一人百物語 第五夜 「あるベルボーイの業務記録」

どうもみなさんこんばんわ。DJ座長でございます。

一人百物語も今回を入れて後95夜残っておりますね。

後二年で終わる気が全くしないのですが、そこはそれ、やはり独自のネタで勝負していくからこそのペースの限界ですかね・・・

しかし、弱音を吐いてばかりもいられません。今回も早速お話をご紹介させていただきましょう。


「あるベルボーイの業務記録」

 私昔いくつかのホテルでアルバイトをしたことがありまして、そのうちの2カ所ほどではベルボーイの夜勤の仕事もしたんですね。拘束時間は長かったですけども、有名人に会えたり、まとまったお金が入ったりと割と気に入った仕事でした。
 さて、とあるホテルで働いていたときの同僚の一夜の業務記録をご紹介しましょう。
 
 16:00 出勤。ゲストのチェックイン業務。荷物センドアップ多数も、特にトラブルなし。

 17:00 ドアマン業務開始。ツアーの大型バス2台留置あり。専用スペースにご案内。四条河原町までのタクシー手配2件と京都駅までのタクシー手配あり。明日の観光タクシーのご注文があったので、信頼の厚いIタクシーさんに依頼。にこにこといい感じのおじさんで、安心してゲストを託せる。

 18:00 遅番のKさんとドアマン業務を交代し、休憩に入る。社員食堂にてカレーを注文。駐車場係のUさんと世間話をする。また飲みに行く約束をする。
 
 19:00 休憩終了し、再びベルボーイ業務に戻る。フロントの社員さんや他のスタッフと連携を取りながらゲストのあらゆる注文・相談に対処していく。宅配便の受付が多く、宴会の方にクロークスタッフが回っていたため人でが足りず、ゲストをお待たせすることになり、お叱りを受ける。

 20:00 宗教絡みの大きな宴会が一件終了し、帰りのタクシー手配に追われる中、ぽつぽつとチェックインのゲストがあり、フロアーは大混乱となる。

 22:00 チェックインも落ち着き、日勤スタッフも退社。後はKさんと二人で夜勤体制である。申し送りリストの更新や館内パトロールなどをする。駐車場業務を終えたUさんから簡単な申し送りを受け、鍵を預かる。50過ぎのUさんにはさすがにハードワークだったのか、今日はなんだかお疲れ気味であった。

 23:30 地下駐車場に降り、駐車車両のナンバーリストの作成、および駐車場の施錠。

 24:00 クロークからフロントにうつり、夜食を取る。フロントスタッフの先輩たちと談笑しながら過ごす。

 1:00  仮眠。

 4:00  起床。シャワーを浴びてフロアーへ。遅番のKさんと交代し、Kさんが仮眠に入る。Kさんの作成してくれた新聞リストを元に各室へ新聞を配達する。一人で全室に回るものだからかなり骨が折れる作業である。

 5:00  新聞配達終了。次にフロアーのゴミを捨てにいく。これが意外に面倒で、台車を使ってゴミ置き場に行くためには地下に降りて宴会場の裏の通路に入り、業務用エレベーターに乗り換えてさらに厨房を抜けていかなくてはならない。非常に面倒であるし、そもそもまだ暗い時間帯であるから電気もついていない真っ暗な通路を進むのは大変不気味だ。しかし文句を言ってはいられない。フロントの社員さんも「ねむてえなぁ」などといいながら必死で仕事をしているし、いつも宴会場の裏の小部屋を通るときにすれ違う警備のおじさんも「お疲れさん」と声をかけてくれるが、あの人もあんな時間から見回りとは大変に違いない。

 5:30  ゴミ捨て終了。フロント社員に挨拶し、駐車場を開けにいく。そこからはクロークでしばしまったり。簡単な朝食を取ったりもする。ときどき来る宅配便やチェックアウトの時に出ていく。

 7:00  起きてきたKさんと合流。少し休憩させてもらう。掃除をしにきてくれた清掃係のDさんとしばしおしゃべりする。

 8:00  チェックアウト業務にあたりながら合間を見てホテルの旗を掲揚する。

 9:00  日勤の早番が出勤する。

 10:00 リーダーが出勤。この時点で業務終了となり、Kさんに別れを告げ退社。

 
 以上がその同僚の一夜の勤務なのですが、なぜこれが怪談かって??
 
 それはもちろんこの中におかしな点があるからですよ。

 実は、私も同様の勤務をしていたはずなのですが、ゴミ捨てのときに宴会場の裏で警備のおじ さんとすれ違ったことなんかないんです。もちろんフロントの人に聞いても「そんな時間に警 備のおっさんがそんなところパトロールしているはずない」っていうんですよ。

たしかに、警備係に聞いてもパトロールの時間は厳格に決められておりその時間は一人が仮眠 中のため警備室で待機することになっているとのことでした。

 じゃあ、その同僚が毎回すれ違っていたおじさんは一体誰だったのでしょうか?

 もう一人そのおじさんを見るという先輩がいたのですが、いつの間にか辞めてしまいました  し、そのホテルも今はつぶれてしまい、どうにも真相を確認しようがないのです。

 ただ、はっきりしていることは、そのホテルの棟のうち、一つだけ不自然に奥まった棟があ  り、そこにはやたらと狭いシングルの部屋が並んでいるのですが、その棟、実は昔結核病棟で 当時不治の病であった結核によて多くの人が亡くなった場所だったのです。

 やはり何かしらの因縁があるのでしょうか??

 それにしてもその棟のシングルの部屋、そういう目で見ると何だか病室みたいに見えてくるん ですよね・・・

 ホテルにしてはあまりに不自然なんですよ。作りが・・・

 みなさんも、ホテルに泊まるときにはそれなりの覚悟を持って泊まった方がいいかもしれませ んね・・・

 それではみなさんごきげんよう

 See you next nightmare!

DJ座長でした!