一人百物語第十夜 悪夢

最近すっかり寒くなりましたが皆さまお元気ですか?
久々になってしまいましたが、百物語です。
部室ノートにも書いたのですが、先日あったことでも語らせていただきます。
より詳しく語ります。

変な夢をみました。

私は自宅で寝ておりました。
すると玄関のドアのあたりで何やらゴソゴソやっている音が聞こえるのです。

ああ、外にかけてある傘が風にあおられてドアにぶつかっているのだな。

ととくに気にもとめずそのまま寝ようとしていました。
しかし、いつまで経っても音は止まず、しかも明らかに傘がドアを打つのとは違う音がするのです。
まるでドアポストに何かを投函するかのような。

なんだか様子が変だなぁ。

そう思った私はもうひとつ気がつきました。
傘があおられるほどの風が吹くならば、窓の直下にある常緑樹の葉の擦れる音が聞こえて然るべきではないかと。
しかし実際外には風の音はおろか、物干し用のハンガーが、窓を打つ音も聞こえません。
玄関の音は続く。
これはもう何か普通のことではありませんので、のそりと布団から起き出し、外から入り込む常夜灯の薄暗がりの中、半ば手探りでヨタヨタと玄関に向かいました。
やはり外かは何やらゴソゴソという音は続いております。
恐る恐る覗き穴から外を見ますと、そこには誰もおりません。
ただただ安アパートの廊下が見えるのみです。
不思議と物音も止んでおりましたもので、何かの間違いであったかと思い直し寝床に戻ろうと踵を返しかけたのですが、やはり何か引っ掛かる。
何を思ってか私はドアノブに手をかけ、ゆっくりと回そうとしてみました。
するとなぜか抵抗があって回らないのです。
ドアノブが、回らないとすれば、もう外から誰かが押さえているとしか思えませんでした。
思い当たった私は踏み台を持ってまいりましてドアの上にあります横長の換気窓からひょいと顔を覗かせました。
すると、すぐ真下になにやら黒い陰ながらのようなものが蠢いているではありませんか。
それはちょうどうずくまるような格好でドアの下で何やらやっているようなのです。
あまりの恐怖に思わず声が出そうになりました。
すると、黒い影がゆっくりと頭を上げました。
それは女だと分かりました。
長い黒髪をだらりと垂らして、青ざめた顔でもって私をみつめ、黄色い歯を剥き出しにしてニカッと笑うのです。
ううっ
思わず声を上げてしまいました。
すると女は何事もなかったかのようにまたうずくまって何かをやり始めてしまいました。
何をやっているのかは分かりませんがとにかくしっかりと窓を締め、一度踏み台を降りました。
すると足下で何かが動いているのが見えました。
暗闇でよく分からないので、よく近づいて見てみると、それは黒くて長い髪の毛でした。
女の子髪の毛が、ドアの下の隙間からワサワサと部屋の中に入ってくるではないですか!
外の女は何とかして中に入ろうとしていたのです。
そして手を尽くした挙げ句に髪の毛だけでも中に入ろうとしていたのです。
なんという執念でしょうか。
私は成す術もなくその場に立ち尽くしておりました。
その夢はそこで終わりました。
私は夜中に目をさましてしまいました。そして、念のために玄関の戸締まりを確認してしに行ったのは言うまでもありません。
そんな、イブの夜でした。

いかがでしたでしょうか。
何だか色んな有名怪談の寄せ集めかのような悪夢でしたね。
ある意味、気持ち悪い話ばかり集めている私に対する何らかのバチかも分かりませんね。
しかし、そんなものに屈するわけにはいきません!
これからも座長は怪談を集めてご紹介させていただきますので、温かく見守って下さいますようお願いいたします。
年内にもう一回くらい何か書くと思いますのでご挨拶はそのときにでも。
DJ座長でした。