一人百物語第15夜 ポスター2 その4

は、ポスターでございますか?

とフロントスタッフは怪訝そうな顔で聞き返した。

そうだよ。変なポスターだよ。あれがあるから夜景見えないんだ。しかも日によって違うから多分お宅らが張り替えてんじゃないの?

と、その人はちょっと怒りながら不満を訴えた。

あ、いえ〜何と言いますか・・・当ホテルではそういったサービスは致しておりません。そもそも景色がウリの一つでして、それをふさいでしまうようなことは・・・

だから、そんなこと言ったって、あるもんは仕方ないでしょう!

その人、とうとう怒っちゃった。

分かりました。ともかく、一度確認させていただいてもよろしいでしょうか?

ということで、二人してエレベーター乗って行った。
でもって赤絨毯のしつらえた廊下を歩いてその人の泊まってる部屋に来た。
中に入ると高田さんはツカツカといった勢いでもって進んで、窓のところに立った。

いいですか、よくみて下さいよ!

と言ってカーテンをさっと引いた。

・・・・・と、ない・・・・

昨日たしかに貼ってあったポスターが、ない。その代わりに、美しい街の夜景が広がってるんですよね。

そんな、バカな・・・

高田さんは言葉を失いました。

やはり何かの間違いではございませんでしょうか?

というフロントスタッフに対し、高田さんも昨日まであったんだけどなぁと言いながらももう強くは言えなくなっちゃった。いや、もしかすると、自分がよっぽど、疲れてて、本当に見間違えたのかもしれない。そうすら思い始めた。
結局、また何かあったらフロントに連絡するということで、話は落ち着いて、スタッフは帰った。

一体、どういうことなんだ?

そうつぶやきながら、高田さんは窓の前に立ち、美しい夜景を眺めていた。

ん?何だ?

高田さん、変なことに気づいた。
その窓、よく見ると・・・

その5に続く